選挙権年齢が18歳以上に引き下げられるのを踏まえ、愛媛県内の県立以外の私立高校など20校の大半が校外での政治活動に参加する生徒に事前届け出を求めないことが26日までに愛媛新聞の取材で分かった。届け出を義務化し校則に盛り込んだ県立59校とは対照的な対応で「生徒の自主性を尊重するべきだ」「正しい知識を持って選挙に行ける生徒を育てるため教育に力を入れる」などとしている。
 県私立中学高校連合会加盟の17校(分校含む)と愛媛大付属、新居浜工業と弓削商船の両高等専門学校に聞いた。
 20校のうち14校が届け出を求めず、校則化しないと回答。済美、聖カタリナ、帝京第五、帝京冨士、弓削商船の5校は「対応を検討中」、愛媛大付属は「方針は決まっているが言えない」とした。
 届け出を求めない愛光は、専門の教員を中心に議論し「校則としてがんじがらめにするのはどうか。生徒の自主性を尊重するべきだということになった」。新田は「正しい知識を持って、選挙に行ける生徒の育成にこそ力を入れたい」とし、保護者と情報共有して主権者教育に力を注ぐ考えを示す。松山城南は「あくまで教育が原点で、主権者教育でしっかり対応していきたい」とする。
 対応を検討中の済美は「教員がまず勉強する必要がある」として5月中旬に勉強会を開催。松山市選挙管理委員会の職員を講師に招き、約200人が政治活動や選挙運動の定義、公職選挙法違反の行為などについて学んだ。今後も継続する予定だ。
 県立学校の校則化については「生徒の管理しか考えていない姿勢の表れでは」「人の思想、信条に立ち入るかもしれないという意識がない」などの意見のほか、「校則化すると、何かあったときの対応を学校として細部まで詰めておく必要がある。むしろ大変なのではないか」との懸念もあった。
 県立学校は生徒の校外での政治活動について口頭で届け出させ、具体的な政党名や候補者名は聞かないとする運用方針を掲げている。県教育委員会高校教育課の長井俊朗課長は「県教委の思いは、社会的経験の浅い高校生が公選法違反事件に決して巻き込まれることがないようにしたいという一点だ」との姿勢を示している。