命の尊さかみしめて 事故で亡くなった生徒の写真展 伊予農業高校
2014年、自転車で下校中に交通事故で亡くなった元伊予農業高校写真部の渡辺大地さん=当時(15)=が生前に撮影した写真などを展示する同校の「農業祭」が13日あった。来場者は写真を通して渡辺さんに思いをはせ、命の尊さをかみしめていた。
写真部の展示の一角で「大地 彼の世界」と題し、同級生の部員が「(渡辺さんの)目線で撮ったことがよく分かる」と選んだ20枚を飾った。撮りためた千枚以上の写真はスライドショーでも上映し、渡辺さんへの思いをつづった父親のメッセージと母親が描いた似顔絵も展示した。
会場には生徒や地域住民が次々と訪れ、色鮮やかな風景や植物の写真をじっくりと鑑賞。父親の文書に目を潤ませる人もいた。
くつろぐネコの写真を眺めていた松山市余戸東2丁目の薬剤師井上加代さん(70)は「自分にも息子がいるので重ねてしまう。動物好きの優しい子だったのかな」と目を細めた。同市の50代の女性は「ファインダーをのぞく彼の気持ちが伝わってくるよう。細やかな思いやりのある子だったんでしょう」と交通事故の怖さや悲しさを感じていた。
写真部の同級生、八木春香さん(17)は「実習で育てた植物や、みんなで撮りに行った写真を選んだ。渡辺君のことを、多くの人に知ってもらえてよかった」とにぎわう会場を見つめた。