第2次大戦末期、旧日本海軍の人間魚雷「回天」の出撃を直接知る愛媛県松前町上高柳、清積勲四郎さん(86)らによる回天搭乗員の慰霊式が28日、山口県周南市大津島の市回天記念館であり、中国地方や関西の遺族ら約20人が出席。生還を期さない戦いに投入された若者たちを弔った。
 回天は全長14・75メートル、直径1メートルの魚雷に1人が乗り、敵艦に体当たりする特攻兵器。
 清積さんは回天を搭載して南方に向かった潜水艦「伊58」の元乗組員。まだ16歳で、生活の世話が任務だった。伊58が1944年12月~45年8月、回天を載せて出航した計3回のうちマリアナ諸島方面など2回に乗り組み、伊58から出た回天9基(生還者なし)中、5基を送ったことになる。
 毎年開く伊58の戦友会で記憶を語り継いできたが、出席者が減り2000年に途絶。回天の訓練施設があった大津島での慰霊式は、清積さんら有志数人が02年から毎年続ける。