「昭和南海地震」70年 松前も被災、怖さ知って
発生から今年70年となる「昭和南海地震」の被害を知り備えに生かそうと、伊予高校(愛媛県松前町北黒田)1年の武智優さん(16)が地元の体験者の証言や記録を集めた冊子を作った。武智さんは「昭和南海地震を知らない友達も多い。松前町で亡くなった人もおり、実際に起きたことを伝えることで、少しでも地震の怖さを知ってもらいたい」と話している。
昭和南海地震は1946年12月21日の未明に起きた。紀伊半島沖が震源で、県内では26人が犠牲になったといわれる。発生70年を迎えることなどから、同校の柚山俊夫教諭(55)が生徒に調査を呼び掛け、武智さんが手を挙げた。
2人は、学校周辺でも被害が大きかったと知り、8月に松前町の高齢者2人に聞き取り調査した。
当時9歳だった男性からは、就寝中に地震が起き、冬にもかかわらず川の近くで布団を敷いて寝たこと、火災を防ぐため火の付いていた炭のこたつを持ち出したことなどを教わった。松前港一帯は地盤沈下の影響で、家屋や田畑が浸水したと学んだ。当時20歳だった男性らと港を歩き、地震後に高潮対策をした堤防を写真に収めた。
当時の新聞記事や郷土資料なども加え、22ページの冊子にまとめた。防災対策に役立ててもらいたいとの願いを込め、伊予市や松前町に配布する。