推定樹齢101年を誇る愛媛県西条市丹原町来見(くるみ)の名物桜「陽春」の原木(市天然記念物)が、枯死の危機にひんしている。衰弱が進み、治療に携わった樹木医の佐伯博さん(76)=西条市丹原町関屋=は「これ以上の延命は無理。花が見られるのは今年で最後かもしれん」と診断。花見に訪れた地元住民は「100年余り来見を見守ってくれた。何とかもう1年生きながらえてくれたら」と来春の開花に淡い期待を寄せている。
  原木は高さ約14.5メートル、幹回り約2.5メートル。地元住民が1914年に水路改修工事完成記念で植えた桜数十本の唯一の生き残りと伝わる。世界平和のシンボルとして親しまれる「陽光」を生み出した桜研究家の高岡正明さん(1909~2001年、東温市出身)が1990年に発見。6年後に新品種として登録された。
 優美な姿で住民らに愛されてきた原木だが、年月とともに樹勢は衰えた。幹の一部が空洞化し、養分を吸い上げる力が弱まったため、10年近く前に佐伯さんが枝から根を延ばすバイパス手術を施したが、花付きは年々悪くなっているという。