「愛媛代表」の覚悟が力をくれた―。愛媛国体の水泳のオープンウオータースイミングで12日、3位に入った吉岡理沙選手(県競技力向上対策本部)は今春、県スポーツ専門員となって急成長を遂げ、競技を始めて6年目で初めて主要な大会の表彰台に立ち、感極まって涙を流した。
 奈良県出身の21歳。もともと背泳ぎが専門だったが伸び悩み、転向した自由形で才能が開花した。腕の力強さが持ち味で、プールより浮力の強い海で生かせると見いだされオープンウオーターを始めた。
 高校2年の冬、日本水泳連盟の強化合宿で愛媛を訪れ、愛媛国体の会場に決まっていた北条長浜海水浴場を初めて目にした。「透き通っていて、めっちゃきれい」と記憶に残った。その後も冬の愛媛での強化合宿には毎年参加してきた。
 転機は同志社大3年だった2016年。チームメートに比べて結果を出せず、取り残されたように感じていた。「競技をやめようと思ったけれど、やめるにやめられなくて」。そんなとき、国体に向け競技力強化を進める愛媛県からオファーがあり、17年4月、大学を休学して愛媛県スポーツ専門員となった。
 高校時代から指導する茅原直人さん(40)=奈良県大和郡山市=は「プレッシャーも相当あったと思うが、本人の気持ちが強かったのだろう」と目尻を下げる。
 12日のレースでは浜辺から「吉岡頑張れ」「愛媛」と大声援が飛んだ。「聞こえていた」と吉岡選手。「いつもなら諦める場面でも、愛媛を背負って出るということが支えになった」とほほ笑んだ。