「カラスは街の娯楽であり、無料のエンターテインメントなんです!」。一般的に敬遠されがちなカラスをこよなく愛する女性が今治市の大三島にいる。全国に約140人の会員がいるコミュニティーを主宰し、日本初とされる専門雑誌を創刊。昨年は9月6日をカラスの日に制定した。今年は酉(とり)年。つぶらな瞳とすらっとしたフォルムの賢くておちゃめな鳥をめでてみませんか。
 女性は吉野かぁこ(本名歩)さん(36)=大三島町台。2015年4月に夫(35)とともに埼玉県から大三島に移住。ライターやカメラマンを務める傍ら、「カラ友」(カラス愛を語り合える友達)の輪を広げる活動をけん引する。
 元は重度の恐怖症。東京での会社勤務時代には、パンを持っていて追い掛けられたり、道を遠回りして会社に遅刻したり。大人として駄目だろうと克服を決意し、けがをしたカラスを保護する人を訪れた。顔を近くで初めてじっくり見るとあどけない。餌を手であげると気づかってくれるかのように優しくついばんでくれ「分かり合えるかも」。
 恐怖一転、愛は一気に深まった。13年10月に「カラス友の会」を発足させホームページ(HP)を立ち上げ。会員は現在、北海道から沖縄までの約140人。「イメージ的にカミングアウトできなかった」同志らが集う。
 14年5月には日本初とされる専門雑誌「CROWS,(クロース)」を創刊した。雑誌は15年7月までに3号を数え、グラビアをはじめ生態やグッズ、本、スポットの紹介、「カラスの教科書」などの著書がある東京大総合研究博物館の松原始特任助教の寄稿など盛りだくさん。