秋から冬にかけてツルが飛来することで知られる愛媛県西予市。今シーズンを前に同市宇和町西山田の石城小学校の児童らが13日、宇和地域内の田んぼにナベヅルの模型「デコイ」を設置した。模型を置くことでツルが長期滞在する効果が期待され、子どもたちは首を長くして訪問を待っている。
 市環境衛生課などによると、市内では毎年10羽前後のナベヅルが飛来しており、昨シーズンは最多で90羽、約60羽が約2カ月間にわたって滞在。国内最大のツルの越冬地、鹿児島県・出水平野に次ぐ数となっていた。
 ツルは一度訪れると何度も来る習性が考えられ、デコイ設置で仲間意識や安心感を覚える傾向があるという。
 はじめに全校児童75人対象の学習会を市などが開いた。日本野鳥の会(東京)の伊藤加奈さん(32)が講師役を務め、餌がある田んぼを残し、ねぐらとなる水辺を守ることなどの重要性を語った。
 続いて3、4年生の24人が、ナベヅルの家族を想定した体長1メートルほどのデコイ3体を設置。田んぼに穴を掘って足元を固めた。カエルやタニシ、稲穂などツルの餌となりそうなものも探した。4年浜田宇乃さん(10)は「ナベヅルに来てほしい」と笑顔で話した。
 市は「ツルは警戒心が強い。見つけても300メートル以上距離を取ってほしい」とマナーの徹底を呼び掛け。マナヅルのデコイ3体も設置することにしている。