ミャンマー銃撃死9年 長井さんの遺族墓参 真相究明への思い新た
2007年にミャンマーで反政府デモを取材していた愛媛県今治市出身の映像ジャーナリスト長井健司さん=当時(50)=が治安部隊の銃弾に倒れてから27日で9年を迎えた。遺族が、同市山路の大谷墓園墓地にある長井さんの墓を訪れ、真相究明への思いを新たにした。
墓参したのは妹の小川典子さん(56)。青色のキキョウを手向け、静かに手を合わせた。
小川さんは、ミャンマーで3月に文民政権が発足したことを受け、進展のない遺品のビデオカメラ返還や真相究明に「希望が少し見えてきた。民主化が進むなら、兄のこともけじめをつけてほしい」と期待。同国のアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相が11月に来日を予定していることについて「淡い期待だが、来日中に少しでも会えれば」と外務省に面会を要望する考えを語った。
松山市石手2丁目の石手寺では、僧侶ら8人が黙とうをささげて長井さんを追悼。読経や焼香に続き、信徒による御詠歌で暴力のない世界の実現を祈った。加藤俊生住職(58)は「ミャンマーの弱い立場にある人たちが、その後どうなったか耳にすることも減った。いまだに戦争や貧困で苦しんでいる人について、みんなで知り、広める活動の大切さを長井さんの死は訴えている」と語った。