今治の新たなご当地グルメは幻の味―。愛媛県今治市室屋町6丁目、漁業藤村美枝さん(41)がこのほど、高級魚として知られるアコウ(キジハタ)でだしを取ったラーメンを考案した。出店したイベントで上品な味が評判を呼んでおり、魚離れに歯止めをかける役割も期待される。
 藤村さんは夫の義数さん(40)が今治漁協に所属し、来島海峡で刺し網漁業に従事している。漁協などが昨年「浜の夏祭り」を初めて企画した際、出店の声掛けがあり、「魚が苦手な人でも食べられるものを」と大好きなラーメンを選んだ。
 完成まで1カ月ほど試行錯誤した。魚臭さを取り除くため、新鮮なアコウのうろこや内臓、血合いなどを丁寧に下処理。大釜で半日煮込み、こすと、半透明のだしが出来上がる。しょうゆベースの鶏がらスープと合わせ、中華そば風に仕立てた。
 「お客さんにはスープがおいしいと言ってもらえる」。手間暇かけた「母ちゃんの味」が評価され、藤村さんも自信を深めている。