熊本県の「くまモン」のヒットに始まり、強烈な個性を放つ千葉県船橋市の「ふなっしー」の大ブレーク―。まだまだ陰りが見えないゆるキャラブームの中、異彩を放つキャラクターが愛媛県宇和島市で地道に活動している。その名は「ブラッドくん」。宇和島東高校経済研究部が生み出した郷土愛に燃えるナイスガイだ。
 全国有数のかんきつ産地である同市では、約10年前から地球温暖化を逆手にとり、価格が低迷する温州ミカンや中晩かん類の栽培をイタリア原産の高級かんきつ「ブラッドオレンジ」に切り替え、国内初の産地化を目指している。ブラッドくんは、その取り組みを応援し地域活性化に貢献しようと、2013年に誕生した。
 モチーフはもちろんブラッドオレンジで、果肉の特徴である赤みを帯びた顔とミカン畑で育ったために黄色くなった体が特徴の男の子。宇和島市生まれだが、両親は地球温暖化の影響でイタリアのシチリア島から引っ越してきたという設定になっている。
 「活動を通じ、ブラッドオレンジを多くの人に知ってもらえるようになってきた。やりがいは感じる」と部長の2年末広多一君(17)。「宇和島を盛り上げるため、もっとかわいくなってみせます」。恥ずかしがり屋で声を出せないブラッドくんの熱い思いを代弁してくれた。