宇和島藩伊達家と薩摩藩島津家ゆかりの名品に直接触れられる鑑賞会が2日、愛媛県宇和島市天赦公園の国指定名勝「天赦園」であった。市内外から参加した約100人が、歴史ある逸品でお茶を飲むなど、楽しみながら本物の価値を堪能した。
 市立伊達博物館(御殿町)の秋期特別展「海、遥か-薩摩藩島津家と宇和島藩伊達家」開催を記念し、実行委員会が主催。宇和島出身の茶道家木村宗慎さん(40)=京都市=が企画・監修した。
 会場には、3種類のうわぐすりを使った薩摩焼の重厚な茶わんや繊細な色使いの薩摩花入れ、桃山時代を代表する焼き物「伊賀焼」の水差しなど約30点が並んだ。木村さんの解説を受けた参加者は作品を恐る恐る手に取り鑑賞。天赦園を造った宇和島藩7代藩主伊達宗紀自筆の掛け軸などにも見入っていた。
 松山市から夫婦で訪れた山本允彦さん(72)は「じかに触れ、歴史の深みを感じられる貴重な機会」と満喫した様子。木村さんは「本来ガラス越しで見るものを手に取って価値を感じてもらうとともに、文化や歴史を愛してくれる人が増えていけばうれしい」と話していた。