標高150メートルの山中で海水魚を養殖!? 住友化学子会社で環境事業などを手掛ける「イージーエス」(愛媛県新居浜市)が29日、同市立川町の観光施設マイントピア別子で温泉水を用いたトラフグの養殖事業を始めた。同社によると、飼育水を循環利用する設備でのフグの陸上養殖は中四国で初めて。新たな愛媛・別子ブランドとして県外に売り出し、新居浜の郷土料理ふぐざくと合わせてPRしていくという。
 1年半前から栃木県の先行社で研修を受けるなど研究を重ね、2016年3月、マイントピア別子敷地内に軽量鉄骨平屋、敷地面積約180平方メートルの施設を建設。容量5.6トンのプール4基を備え、温泉水に塩分を混ぜて人工海水を製造し、炭やサンゴでろ過して約1年間循環させて使用する。イージーエス初の養殖事業で、総事業費は約2000万円。
 同社によると、塩分濃度を海水より大幅に低い0.8%に、水温を22~23度に調整することでフグは丈夫で成長が早くなり、温泉成分の影響で引き締まった身になるという。天然魚以下の価格で市内外のスーパーなどに出荷を予定しているほか、マイントピア別子には1キロ3000円前後の特別価格で卸し、施設内のレストランで特産品として気軽に味わえる仕組みも検討している。