NPO法人西条自然学校(愛媛県西条市、山本貴仁理事長)のスタッフが講師を務めた自然観察会に参加し、目を輝かせて話を聞いていた少年が、自然学校のスタッフとして戻ってきた。松山市出身の高田直紀さん(26)=西条市大町=で、北海道西興部(にしおこっぺ)村から2015年春に帰県し「自然を学ぶ楽しさを多くの人に知ってほしい」と奮闘している。
 中学、高校時代に参加した観察会で、講師を務めていたのが自然学校を立ち上げた理事長の山本さん。「好きなことを仕事にしている」と憧れた。
 酪農学園大(北海道)卒業後は、在学中に研修で通った人口約1150人の西興部村の地域おこし協力隊として、地域振興に携わった。3年間の任期が終わるころ、住民や村長から村にとどまるようにと言われた。村や地域の人のことは大好きだったが「愛媛で自然についてもっと学びたい」という思いが勝った。
 現在、力を入れているのは県内のカワウの実態調査。巣の場所や個体数を調べるため、重信川や黒瀬ダムなどに出掛けている。
 「自然との適切な距離の取り方や関わり方を子どもが自ら考えるきっかけをつくりたい」と笑みをたたえる高田さん。山本さんも「子どもに大人気で、子どもが自然に親しむきっかけになっている」と温かく見守っている。