愛媛県西条市大町の引田章夫さん(67)が2014年12月28日、西条市洲之内の四国霊場64番札所前神寺で巡礼200回目の結願を果たした。霊場開創1200年とされる節目の年に、17年がかりでの宿願達成。大先達で、遍路文化の継承にも力を注ぐ引田さんは「長かったがやり遂げられた。多くの人と出会えてよかった」と充実感を漂わせ、次の目標を見据えている。
 陸上男子ハンマー投げの室伏広治選手のトレーナーなどを務めた引田さん。50歳で引退して地元西条市で鍼灸(しんきゅう)院を開き、「人生の折り返しに」と車で四国巡礼の旅に出た。当初は読経の仕方も分からなかったが、先達の話などを聞くうち遍路文化の奥深さに引き込まれた。
 納札(おさめふだ)も回数を重ねるにつれて赤から銀、金となり巡礼100回を超えた人だけが持てる錦になった。御利益があるとされる錦の納札を受け取って涙を流す人の姿に「1枚の札で人を救えたり、喜んだり家宝にしてもらえてうれしい」と笑顔を見せる。