愛媛大地球深部ダイナミクス研究センター(GRC)と東京工業大、大阪大などの共同研究チームはこのほど、地球の中心核に相当する高温高圧条件下で鉄の電気伝導度測定に成功した。測定値から内核の誕生年代を従来の諸説より大幅に若い約7億年前と算定し、国際科学雑誌「ネイチャー」に発表した。
 愛媛大の桑山靖弘助教(37)は「これまで高温高圧下での電気伝導度に関するデータはなく、地球の歴史を考える上での重要なパラメーターを提示することができた」としている。
 桑山助教によると、地球中心部は金属からなる内核と外核の二重構造で、約46億年前の地球誕生時には高温のため内核は存在していなかった。内核の誕生時期は40億年前や27億年前、十数億年前など諸説あり、チームは核の主成分である鉄の電気や熱の伝わりやすさに着目し、独自に年代を割り出した。
 研究では、大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)と高圧発生装置を組み合わせ、10ミクロンの純鉄を外核上部に相当する157万気圧、4500度の条件下に置き、電気伝導度を測定。測定値から算出した電気・熱伝導度はこれまで考えられていた数値より約3倍高いことが分かり、核の冷却速度などを分析した。