「今日は本当の魚日(うおび)じゃ」。愛媛県大洲市の肱川で、産卵のため川を下る「落ちアユ」を狙った瀬張り漁が最盛期を迎えている。魚日とは、群れを一網打尽にできる好条件の日のこと。29日は愛好家の笑いが止まらなかった。
 瀬張り漁は、竹のくいやビニールを両岸に渡しアユを驚かす仕掛け。アユが下るのをやめたところを投げ網で狙う。魚日は雨上がりの晴れた朝に多いといい、「増した水量や太陽の光が関係しているのかな」と愛好家は語る。
 同市菅田町菅田の河原には約10人が集結。アユが仕掛けに戸惑った瞬間、「入った入った」と声を上げて素早く網を投げた。
 25センチほどのアユが数十匹は掛かっている網を手にした近くの男性(69)は「今年は小ぶりだけど数はおる。塩焼き、薫製、唐揚げもいい」と喜んでいた。瀬張り漁は12月にかけて続く。