愛媛県宇和島市野川の宇和津彦神社の秋祭りが29日開かれた。地域伝統の八ツ鹿踊りや牛鬼などが境内での奉納後、市内各地を練り歩き、城下町はにぎわった。
 八ツ鹿踊りは初代宇和島藩主伊達秀宗が仙台から伝えたとされ、380年以上の歴史があり、1974年に市無形民俗文化財に指定された。屋敷の庭に隠された1頭の雌鹿を7頭の雄鹿が見つけ、喜び合う様子を表現しており、裏町1丁目八ツ鹿保存会(曽根郁夫会長)が継承している。
 踊りは変声期を迎えていない小学4~6年の男子児童8人が担当。同市天赦公園の国指定名勝「天赦園」では、伸びやかな声に合わせ、池に囲まれた芝生の上で優美な舞を披露し、周囲は厳粛な雰囲気に包まれた。
 踊り手を務めた宇和津小6年の児童(12)は「多くの人が見てくれて緊張するけど、最後なので来年後輩に頑張ってもらえるようしっかり踊りたい」と話していた。