大洲城跡に鍛冶遺構 16~17世紀 城のくぎなど製造か
大洲城跡(愛媛県大洲市大洲)の発掘調査を行っている市教育委員会は29日、二の丸奥御殿跡から鍛冶遺構が見つかったと発表した。大洲城が中世城郭から近世城郭へ移行する16~17世紀前半のものとみられ、市教委は「城の変遷を知る貴重な発見。近世城郭の整備時期を割り出す材料になる」としている。
鍛冶遺構の調査面積は約17平方メートルで、黒ずんだ鍛冶炉跡3基のほか、不純物が溶け固まった鉄滓(てっさい)、ふいごの羽口などが見つかった。遺構は土層の堆積から奥御殿跡より古く、近世城郭としての整備が完了する前に操業していたとみられる。
大洲城の城主は中世から江戸時代にかけ、宇都宮、大野、小早川、戸田、藤堂、脇坂、加藤の各氏を変遷。近世城郭として整備されたのは戸田氏以降とみられるが、整備を終えた正確な年代は分かっていない。
市教委の蔵本諭学芸員(27)は「遺構では城の建造物を造るためのくぎやかすがいを製造していたのではないか。年代が割り出せる出土品が見つかれば、さらに細かい整備時期を知る手掛かりになる」と今後の調査に期待した。
奥御殿跡の調査は市教委が2015年に開始。一帯は少なくとも1692年には加藤家の生活空間だったことが絵図で分かっている。調査では奥御殿のものとみられる用途不明の石列と石敷きも見つかった。
市教委は10月8日午後1時半から現地説明会を開く。同2時半からの鍛冶体験会は事前申し込みが必要で定員30人。問い合わせは市教委文化スポーツ課=電話0893(57)9993。