空海が伝えた密教の世界観をテーマにした「曼荼羅(まんだら)の世界」展が、愛媛県松山市文京町の愛媛大ミュージアムで開かれている。12月26日まで。
 同大の「四国遍路・世界の巡礼研究センター」主催。曼荼羅は唐へ修行に渡った空海によって、初めて日本に伝えられた。今回はセンター所蔵の曼荼羅など8点を展示している。
 「両界曼荼羅図」(江戸時代)は、空海の師恵果から授かった密教の根本を示すもので、大日如来を中心とした世界観・宇宙観を表している。分かりにくかった密教の世界を絵図で人々に見せることで、空海は仏教の一般化に大きな役割を果たした。
 その後、曼荼羅は他宗派にも広がり、多様な絵図が展開された。「石鈇山(いしづちさん)曼荼羅図」(江戸―明治時代)は、密教と山岳信仰が融合した様子を描く霊山曼荼羅の一つで、空海が修行した場所として知られる石鎚山の名を冠している。
 この他、センター所属の教員らによる、国内外の巡礼文化に関する最新の研究成果も公開されている。