愛媛県の久万高原天体観測館(久万高原町下畑野川)の職員中村彰正さん(53)が19日午後6時35分ごろ、火星に大接近した彗星(すいせい)をカメラに収めた。中村さんは「衝突した例を除けば、これほど彗星が惑星に近づいたことはない。計算上はあり得ることでも、実際に見て驚いた」と話している。
 館によると、彗星は「サイディングスプリング彗星」で、太陽から10兆キロ前後離れた太陽系の果ての彗星の集まり「オールトの雲」からやってきた。太陽に引き寄せられる途中、20日午前3時半ごろ火星に最接近し、地球と月の距離の3分の1にあたる約14万キロまで近づいたという。
 中村さんは天体観測館から、口径10センチの望遠鏡にカメラを取り付けて撮影。ガスやちりで少しにじんだ彗星が、明るく輝く火星に向かっていく様子を捉えた。