夏目漱石を顕彰する松山、熊本、鎌倉、和歌山などゆかりの地の9団体と、顕彰団体などでつくる夏目漱石記念年実行委員会は6日、松山時代の漱石が親友の俳人正岡子規と一時期暮らした「愚陀仏庵」の再建を求める要望書を、愛媛県松山市の野志克仁市長宛てに提出した。再建目標を漱石・子規の生誕150年に当たる2017年とし、市民、文化団体などと一体で検討を始めてほしいとしている。
 愚陀仏庵は漱石が1895年に愛媛県尋常中学校教師として赴任した際の下宿。子規と52日間寝食をともにしたのを機に句作にのめり込んだ。県が萬翠荘敷地内に復元したが、10年に土砂災害で倒壊。県と松山市は13年3月までに計5回検討会議を開いたが「適地がない」とし、再建は棚上げ状態になっている。
 6日は団体代表ら3人が市役所で矢野大二総合政策部長に手渡した。松山坊っちゃん会の頼本冨夫名誉会長は「愚陀仏庵は漱石・子規の文学の原点。再建は俳都松山の魅力発信にもつながる」と意義を語った。