愛媛県新居浜市の観光サイトを装った偽のホームページ(HP)が作成され、カジノサイトに誘導していることが15日までに分かった。市が4月に放棄した旧サイトのドメイン(インターネット上の住所)を、第三者が取得し悪用したとみられる。市は公式サイトで注意を呼び掛けている。
 偽サイトは、新居浜太鼓祭りのメインスポンサーとしてカジノサイトから協賛金をもらっていると虚偽の表示をし、別サイトに誘導している。市の公式サイトと同じ素材を使っており、観光情報なども閲覧できる。市は14日に偽サイトの存在を把握、15日現在でウイルス感染や不当な課金などの被害報告はない。
 市の旧観光サイトは2011年度に「niihamakanko.com」のドメインで開設し、外部のレンタルサーバーを経由して運輸観光課が管理運営していた。同課によると、地方公共団体情報システム機構が推奨する末尾が「lg.jp」の自治体専用ドメインに16年3月から移行し、旧ドメインの権利は使用料が掛かることなどから手放した。旧サイトの画面情報は削除していたという。偽サイトは海外にサーバーがあるとみられる。
 末尾が「.com」のドメインは先着順で誰でも取得できる。市は警察に相談したが、手放したドメインを第三者が使用することは違法でないため、偽サイトを閉鎖するなどの対策がとれていない。
 情報セキュリティー対策が裏目に出た結果に、運輸観光課は「事態を想定しておらず、認識の甘さを反省している。警察と協議しながら対応していきたい」とし、偽サイトが著作権法に触れていないかなども調べる方針。利用者には「新居浜市のHP内から観光サイトを検索してほしい」と呼び掛けている。市情報政策課は各課が運営しているサイトについて詳細を調査するとしている。