80年以上にわたり国内外で収集した昆虫や化石を所蔵する松山市新石手の私設博物館・南日本自然史博物館で、29日から5月1日まで特別展「世界の昆虫と愛媛の化石展」が開かれる。自然探求に人生を注いだ前館長の楠博幸さん(93)にとって9年ぶり、そして最後となる企画。「ぜひ多くの子どもたちに見てもらい、自然の素晴らしさや多様性を感じとってほしい」と願いを込める。
 小学生のころに昆虫採集を始め、国内外を飛び回って昆虫や化石など計31万点を収集してきた楠さん。1998年、自宅に同館をオープンし、豊富な標本を入れ替えながら年10回程度、展示会を企画、開催してきた。子どもたちなど多くが訪れたが、体力的に活動が難しくなり2007年に引退。昨年1月には体調を崩し自宅を離れたものの「もう一度、自分の手で特別展を」と奮起、館長を引き継いだ長男嘉博さん(59)と協力し開催を実現した。