文化庁は25日、地域の歴史的魅力や特色を伝える伝統・文化のストーリーを認定し、観光資源として活用する「日本遺産」の2016年度認定結果を発表した。愛媛県今治市と広島県尾道市が共同申請した「『日本最大の海賊』の本拠地・芸予諸島―よみがえる村上海賊『Murakami KAIZOKU』の記憶」をはじめ、19府県80市町村の19件が選ばれた。
 日本遺産は伝統文化を物語仕立てで国内外に発信し、地域活性化につなげようと15年度に新設された。テーマを設定し、建造物や遺跡・名勝地、祭りなど地域で受け継がれる有形・無形の文化財群で構成する。国は20年東京五輪までに100件程度を認定する方針で、初回の昨年は「四国遍路-回遊型巡礼路と独自の巡礼文化」(四国4県)など18件が選ばれた。
 今治、尾道両市は、戦国時代に来日したポルトガルの宣教師ルイス・フロイスが「日本最大の海賊」と表現し、瀬戸内海の交易や流通の秩序を支えた村上海賊をテーマとし、本拠地の芸予諸島で海賊の歴史を体感できるとアピール。瀬戸内しまなみ海道沿線に点在する城跡や大山祇神社(今治市大三島町宮浦)に奉納された武具類、伝統料理「水軍鍋」など計42件の文化財で構成した。