来月から選択取水設備運用 鹿野川ダム
国土交通省山鳥坂ダム工事事務所は28日、愛媛県の鹿野川ダム(大洲市肱川町山鳥坂)で新設工事が進められていた「選択取水設備」がほぼ完成し、12月1日から運用を始めると発表した。任意の深さの水を放流できる設備で、国が進める鹿野川ダム改造事業の一環。
選択取水設備は、洪水時にゲートから放流する水ではなく平時に流す比較的少量の水を扱う。同事務所によると、従来設備はダム水位61メートルの水しか取水できない古いタイプで、状況によっては濁流や冷水が下流へ長期的に流される問題があった。新設備は取水水位を66.5~86メートルの範囲で設定できる構造のため、より上層の状態のよい水を放流できる。
サイホン管と呼ばれる取水のための鋼管(幅約6.7メートル、高さ約1.5メートル)が縦に14段連なった構造で、どの段から取水するかを圧縮空気で調整し、左岸のジェットフローゲート(2014年完成)などから放流する。