南海トラフ地震を想定した愛媛県東温市の総合防災訓練が30日、同市田窪の南吉井小学校などであり、市民ら約300人が避難や避難所設営の実践的な訓練で防災力の向上を図った。
 市と市自主防災組織連絡協議会が開催。地震発生直後の避難に重点を置き、南吉井地区を中心にした市民参加型訓練とした。
 午前8時に震度6強を観測したと想定。市民らは各地域の一時避難所に集まった後、徒歩で同小学校を目指し、市職員らが体育館で受け入れ作業に当たった。避難所では段ボールの間仕切りや簡易トイレの組み立て方を学んだり、炊き出しを体験したりした。
 福祉避難所の設置訓練も初めて実施。寝たきりや自力で歩けないなど介助が必要な要配慮者を想定し、小学校から同市北野田の高齢者総合福祉施設ウェルケア重信に協力を要請。ボランティアや施設職員が簡易ベッドを設置し、移送されてきた要配慮者らを受け入れ、健康チェックをするなど対応の手順を確認した。
 同協議会の伊達知元会長は「一番大切なのは命を守るための避難。陸の孤島となる可能性が高い山間部を含め、避難行動や意識を徹底できるよう小規模単位の訓練にも力を入れたい」と話した。