内子座(愛媛県内子町内子)創建100周年を記念し、京都の大蔵流と東京の和泉流が異例の競演をする「東西狂言」が29日、内子座で始まった。内子が舞台の新作「かみあそび」には地元の子どもも多数出演。内子のご当地ネタも満載で観客を大いに沸かせた。公演は30日も行う。
 大蔵流狂言師の茂山千三郎さん(52)と和泉流狂言師の野村万蔵さん(50)らが出演。茂山さんが書き上げた「かみあそび」は江戸と京都の男2人が内子を旅する内容で、両人を投影した設定となっている。
 源氏と平家などあらゆる東西の対比に小田地区の平家伝説が絡んでくる絶妙な筋書き。地元の「内子手しごとの会」による大洲和紙の衣装や五十崎地区の大凧(だこ)が登場したほか、内子座の「花道」や「すっぽん」を利用した演出もあり観客を盛り上げた。
 公演後、茂山さんが「内子座の一体感を感じた」と手応えを語れば、野村さんは「お客を引き込めて気持ちよかった」。この日のために3カ年の指導を受けた子どもたちも大きな拍手をもらい、男子児童(12)は「緊張したけど貴重な体験だった」と振り返った。
 茂山さんと野村さんは古典「清水(しみず)」でも競演。子どもたちも「福部の神勤入(ふくべのしんつとめいり)」を披露した。