オーストラリアで初めて稲作を成功させた愛媛県松山出身の高須賀穣(1865~1940年)の人生を描いた小説「穣の一粒」の作者、松平みなさん(66)=同国在住=が来県し21日、県庁や松山市の書店などを訪問、作品をアピールした。
 高須賀は松山藩士の家に生まれ、教師や衆院議員を務めた後、1905年に家族と共に渡豪し、稲作に挑戦。大洪水や不作に加え、人種差別という逆境の中、不屈の精神で同国初の米の商業生産に成功し、「オーストラリア米作の父」と呼ばれる功績を築いた。
 松平さんは愛南町出身で豪在住の元教師。2014年に知人の勧めで執筆を思い立った。ゆかりの地や子孫を訪ねるとともに、愛媛でも丹念に取材し、昨年12月に愛媛新聞社から刊行した。県庁では応対した中村時広知事に出版を報告し、著作を手渡した。