愛媛県教育委員会は4日、県庁で臨時会を開き、2017年度に県立高校や中等教育学校後期課程で使う教科書採択を審議した。歴史認識や戦争の捉え方で賛否がある明成社版「最新日本史」は16年度の9校に加え内子が新たに希望し、採択が承認された。
 明成社版の使用の継続を希望したのは土居、弓削、三瓶、川之石、今治東中等教育学校、松山北中島分校、三間、新居浜南、三崎。県教委によると、2年生以降で使用される。
 現場の校長らによる県教科書採択委員会は研究結果報告書で「世界史的な視野に立って、わが国の歴史の展開や文化の特色について理解を深めさせるとともに、今日のわが国が先人の努力の上に成り立っていることに気付かせることのできる内容」と評価している。
 一方、明成社版は近現代史で日本の立場を強調し、侵略戦争を正当化しているといった批判もある。えひめ教科書裁判を支える会の奥村悦夫さん(64)は取材に対し「明成社はこれまで太平洋戦争を大東亜戦争と記述し、戦争の目的を自存自衛と大東亜新秩序の建設として侵略戦争を美化している」と話した。
 県教委による高校教科書採択の審議は通常8月下旬に行われるが、大修館書店(東京)が英語教科書を採用した高校に英語ドリルを無償提供した問題を受け、文部科学省が他の教科書会社に内部調査を要請。調査結果を踏まえて教科書を選定できるよう全国的に時期を遅らせていた。
 大修館書店からドリル提供を受けた県内4校のうち三瓶、津島、伯方は17年度、別会社の教科書を希望。新居浜東は「1年生からの継続使用」を理由に引き続き大修館書店を希望した。県教委は「あくまで生徒にふさわしい教科書を選んだ結果」としている。