「セイノッ、ヨッ」。三津厳島神社(愛媛県松山市神田町)の秋祭りが迫った5日、松山市古三津2丁目の民家で古三津南地区のみこしの綱締めが行われた。集まった約40人の男たちは早くも祭りモード。熱気高まる中、額に汗しながら仕上げを行った。
 何度もぶつかる豪快な鉢合わせが呼び物のけんかみこし。綱締めはみこしを衝撃から守るため、屋根の四隅とかき棒を垂直になるよう四方から固定。周囲に綱を六重に巡らせ、竹筒を挟んで3人がかりでねじって仕上げる。最後は「絶対にゆるまないよう魂も入れて締める」と古三津南地区の総取締、渡部慎二さん(45)。屈強な男衆が息を合わせ、腕に血管を浮き立たせながらギシギシと締めて完成させた。
 麻でできた綱には硬く丈夫にするため、仕上げに水を含ませる。作業では「(硬さは)石ぐらいカチカチ」という声に「俺らの絆の方がカッチカチじゃあ」と笑いを誘う場面も。綱締めはみこしの保護だけでなく、団結力を高めるためにも行う。渡部さんは「本番では全員が心を一つにして、地域のために奮闘したい。町内の人が笑顔になる祭りになれば」と願っている。