人間と動物の共存を考える「生物多様性シンポジウム」が29日、砥部町上原町の愛媛県立とべ動物園であった。旭山動物園(北海道旭川市)の坂東元・園長が「安価で便利な生活が、環境に大きな影響を与えている現実を知ってほしい」と訴えた。
 環境や命の大切さを伝える活動をする市民団体かぐや媛(山岡ヒロミ代表)が主催。約90人が参加した。
 坂東園長によると、園で環境や動物の保護に取り組む、オランウータンの故郷ボルネオでは、食品や洗剤などに使われるパーム油の材料を生産する畑が拡大し、生息地のジャングルが伐採されている。「動物と人間の関係が急速に壊れている。いずれ人間に跳ね返ってくる」と指摘した。
 討論では、坂東園長や山岡代表のほか、NPO法人西条自然学校の山本貴仁理事長、野生動物調査事務所・ネイチャー企画の宮本大右代表らが参加した。各氏は、県内の山間地で人工林が放置されて多様性が失われ、餌付けなどで増えたサルやシカなどが殺処分されている現状を報告した。