この火は、世界中から核兵器が廃絶されるまでともし続けられます―。被爆から70年を迎えた長崎市の平和公園にある「長崎を最後の被爆地とする誓いの火」灯火台で9日、平和を願う「折り鶴パフォーマンス」があり、市民らが祈りを込めた折り鶴が天へ向かって飾り付けられた。
 「誓いの火」は、長崎最初の被爆者団体「長崎原爆乙女の会」を結成した故渡辺千恵子さんの活動により1983年、ギリシャ政府から贈られたオリンピアの聖火。「オリンピックの火が燃えている間は戦争をしない」という故事にならい不戦の誓いを込め、87年には愛媛県今治市出身の現代美術家井川惺亮(せいりょう)さん(70)=長崎大名誉教授、同県長与町=がデザインした灯火台が完成した。広島と長崎に原爆が投下された8月6、9日と毎月9日に火がともされている。
 灯火台の中に折り鶴が置かれたことをきっかけに、井川さんと教え子による現代美術グループ「リングアート」がパフォーマンスを企画。平和への思いを形にしようと2001年から毎年続けている。
 平和祈念式典前の午前10時ごろから、爆心地を示す原爆落下中心碑と原爆資料館の中ほど立つ灯火台周辺でメンバーや同大の学生らが折り鶴を呼び掛け。式典参列者や親子連れ、外国人ら通り掛かった人たちは一折り、一折り丁寧に仕上げ、願いを込めるように飾り付けていった。