県原子力防災訓練 伊方町民が海路避難
8月に3号機が再稼働した四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)での重大事故を想定し県は11日、原子力防災訓練を県内外で実施した。大規模地震による複合災害に対応するため町民が大分県や愛媛県内に海路避難する訓練などを展開。90機関の約2万3000人が参加した。県は課題を県広域避難計画に反映させる方針だ。
3号機の再稼働後、初めての県原子力防災訓練。3号機の全交流電源が喪失するなどして放射性物質が周辺地域に放出されると想定し午前8時半から午後3時まで取り組んだ。
大分県への海路避難は、昨年11月の原子力総合防災訓練に続き2回目。
伊方町三崎地域の住民約60人がフェリーと巡視船で三崎港を出発し昨年の佐賀関港(大分市)に加え、新たに津久見港(津久見市)に着岸した。大分県の協力を得て避難所でスクリーニングなどを行った。
伊方町瀬戸地域では陸路寸断を想定。三机港を活用して小中学生ら約80人がフェリーに乗船した。さらに住民約10人が愛媛県の漁業取締船で伊予港に向かい、避難所がある松前町の役場まで移動した。
伊方町と八幡浜市の放射線防護施設10カ所では、施設管理者が放射線除去装置を稼働させた。伊方町の社会福祉施設の入所者役はストレッチャー車や航空自衛隊などのヘリコプターで県内の受け入れ施設まで移送された。原発構内で傷病者が発生したとし、県は緊急被ばく医療アドバイザーの医師を派遣した。
大洲、西予両市の住民はスクリーニングなど避難退域時検査を経て原発から30キロ圏外に急ぎ、受け入れ先の松山市では避難所の運営手順を確認した。