愛媛県松山市の第14回坊っちゃん文学賞の最終審査会が26日、市内であり、大賞に大阪府東大阪市のパート卯月イツカさん(39)=本名非公開=の「名もない花なんてものはない」を選んだ。
 「名もない―」は、高校2年生の少女を主人公に、同級生の男女3人を取り巻く友人関係や淡い恋心といった、ひと夏の揺れ動く気持ちを描いている。卯月さんは「自分の高校時代の友達を思い出しながら、大人になりたいような、なりたくないような思春期の気持ちを小説に書いた」と作品の意図を語った。
 市役所で審査発表・表彰式があり、最終候補にノミネートされた8人と、審査員長の椎名誠氏(作家)、審査員の早坂暁氏(小説家、松山市出身)、中沢新一氏(思想家・人類学者)、高橋源一郎氏(小説家)が出席。椎名氏は「今回もバラエティーに富んだ作品が集まった。大賞作品は短い物語の中に面白みを詰め込んでエスプリも効かせ、総合点が最も高かった」と評した。