肱川から伊予灘に霧が吹き出す愛媛県大洲市長浜地区の自然現象「肱川あらし」が4日朝、今季初観測された。地元の肱川あらし実行委員会が1998年度から観測と判定を始めてから最も遅く、発生初日が初めて11月となった。
 肱川あらしは、大洲盆地の放射霧が肱川沿いに伊予灘へ流れ、河口部の川面に蒸気霧が発生する現象。実行委員会により、両方の霧が肱川河口にある国の重要文化財、長浜大橋で午前7時~7時半に観測されることと定義されている。例年は10月中下旬に発生するが、今季は冷え込み不足のせいかなかなか発生せず、関係者をやきもきさせていた。
 秋晴れの4日朝は文句なしの肱川あらしが生まれ、辺りは幻想的な世界に包まれた。濃い霧は朝日を浴びて輝きながら、生き物のように伊予灘へ流れた。
 実行委によると、肱川河口部の4日午前7時の気温は6.8度、水温は19度。子どもたちは「寒い」と口にしながら長浜大橋を渡った。