時宗の開祖一遍上人の生誕地と伝わり、2013年8月の火災で全焼した宝厳寺(愛媛県松山市道後湯月町)で14日、本堂の再建を祝う落慶法要があった。火災から2年9カ月。焼失した国の重要文化財「木造一遍上人立像」も再現され、真新しいヒノキの香りが漂う本堂で関係者約300人が寺の新たな歴史の始まりを祝った。
 再建したのは本堂のほか、一遍上人に関する資料を展示する「一遍上人堂」と「庫裏(くり)」の3棟。一遍上人堂には一遍上人立像の銅製復元像を展示。本山・遊行寺(神奈川県)から提供された国宝「一遍聖(ひじり)絵」の複製も閲覧できる。
 落慶法要では時宗法主の他阿真円上人(96)ら約20人の僧侶が寺の繁栄と安全を祈願し読経。川崎玄倫住職(64)が「たくさんの方の思いがこの荘厳な伽藍(がらん)に込められている。みなさんと一緒にもり立てていきたい」とあいさつした。
 宝厳寺によると、建設費は約2億3000万円で寄付で賄った。