正岡子規門下の俳人高浜虚子(1874~1959年)が、子規に初めてほめられた句は「京女花に狂はぬ罪深し」だった―。同郷・愛媛県松山出身の森円月(えんげつ、1870~1955年)が所蔵していた画帳の中に、虚子自筆の句と添え書きがあった。虚子記念文学館(兵庫県芦屋市)の小林祐代学芸員は「子規に初めて評価された句を具体的に示した貴重な資料。初めて知る内容でとても興味深い」と話している。
 「京女」の句は1893(明治26)年、19歳の時の作。京都・第三高等中学校生だった虚子は春休みに上京し、根岸の子規庵滞在中(3月30日~4月8日)に句会で詠んだ。子規は松山の河東碧梧桐に宛てた手紙(4月14日)で「虚子中々にふるひ申候」と報告し、「京女」など3句を挙げて評価している。