被爆後の広島「夜でも炎」 体験者が出前講座
広島市への修学旅行を前に原爆の悲惨さを学ぼうと、愛媛県新居浜市王子町の惣開小学校で10日、県原爆被害者の会新居浜支部(富林健二支部長)の出前講座があった。6年生約50人が被爆体験者の記憶に耳を傾けた。
語り部は新居浜市江口町の桜田清さん(85)。学徒動員された桜田さんは、広島市の工場で働いていた15歳の時に被爆した。防空壕に逃げ込んだが、夜になっても辺りは熱気に包まれたまま。「燃えさかる炎が満月よりも明るかった」と振り返った。
原爆投下の翌日、焼け焦げた電車を目にしながら、やっとのことで乾パンを口にした。建物がつぶれた道や線路沿いを歩いて駅を目指したという。
「乾パンを食べたときどう思いましたか」「防空壕に逃げ込んだときの気持は」との児童の問いに、桜田さんは「何を食べるよりもおいしかった。不安で新居浜にいる親のところに帰りたいと思っとった」と、かみ締めるように話した。