赤ちゃん誕生「書」でお祝い 愛南の書家・佐伯さん
愛媛県愛南町御荘平城で居酒屋を営む書家の佐伯恭介さん(36)が1年前から、赤ちゃんの生まれた町内の家族らに祝いの書をボランティアで贈っている。町の少子高齢化が進む中、「子どもが元気に育てば、家族や地域にとってこれ以上の幸せはない」との思いを込めて筆を走らせる。
佐伯さんは広島県福山市出身。中学2年から高校卒業まで、祖母の里である旧内海村(現愛南町)で過ごした。関東などの飲食店勤務を経て、愛南に戻ったのは10年前。過疎化する町の未来を憂い「自分に何かできることはないか」と活動を始めた。
原点は十数年前、シンガポールの飲食店で店長を務めていた時の経験。文化の違いから、現地スタッフとはけんかばかりだったが、誕生日に自筆の祝いの書を贈ったところ、大好評。「思いを伝えるのに、少しの手間をかければ人は喜んでくれる」と強く感じたという。
出生祝いの書は町の協力を得て、役場に置いてある申込用紙に記入した家族に贈呈している。赤ちゃんの名前に自作の詩と絵を添え、この1年で約80家族にプレゼントした。