大都市圏などの元気な高齢者が地方に移住する「生涯活躍のまち」(日本版CCRC)をテーマにした実践セミナーが4、5両日、愛媛県庁で開かれている。4日は高齢者向け住宅を手掛ける「コミュニティネットワーク協会」(東京)の袖井孝子会長がCCRCの長短を語り、「高齢者の人生を最期まで抱え込む覚悟を持ってほしい」と訴えた。
 CCRCは政府が推進。セミナーは県内でのCCRC実現に向け県が企画し、県内外の行政職員や福祉事業者ら約60人が参加した。
 袖井会長は、地方の人口減少や東京一極集中などを背景にCCRCが構想されたことを説明。高齢者を受け入れるメリットとして自治体の税収向上や事業者のビジネスチャンスを挙げる一方、医療介護サービスの提供増加や住民との摩擦などにも触れ「心身機能が衰え認知症になる人もおり、美しい話だけではない」と強調した。
 地域の行政と企業、住民を結ぶ役割を担う人材の育成が必要だとし「さまざまな関係者の協働作業で、最期が幸せに感じるまちをつくってほしい」と呼び掛けた。
 このほか、北海道と岩手県の地域プロデューサーによる事例報告やワークショップがあった。5日はワークショップと成果発表がある。