みこし落としやだんじりなど全国的にも珍しい地元の祭りを広くPRし地域の活性化につなげようと、愛媛県松山市北条地域の住民らでつくる風早活性化協議会がこのほど、ガイドブック「祭都風早」を発行した。4年に1度のだんじり統一かき比べも行われる7~10日の秋祭りに向け、機運を高めている。
 協議会の「祭都風早ブランド化推進特別部会」の編集委員のほか、区長会や屋台関係者ら祭りに携わる住民が総力を挙げて取材や編集などを手掛けた。
 浅海、難波、正岡、北条、河野、粟井の各校区のだんじり計58台の写真を掲載。一糸乱れぬ練りや宮入り直前に川に投げ込む「みこしみそぎ」などの見どころを満載し、立岩校区の弓祈禱(きとう)や猪木大魔(いのきだいば)も詳述した。
 見られなくなってきたイモ版でのササ飾り作りの紹介など、少子高齢化で運営が厳しさを増す中、次世代へと伝統を守り育てていく強い思いを記した。地域の歴史や文化も幅広くまとめ、北条の今の姿を伝える「平成版風早風土記」としての期待も込めた。
 編集委員長の正岡重則部会長(40)は「出版を貴重な出発点として後継者育成につなげ、祭りを全国に発信し活性化に努めたい」と意気込む。
 県歴史文化博物館(西予市)の大本敬久専門学芸員は「住民主体でこれだけの冊子を編集した例は見ない」と評価。「地域の将来を考える題材としてだけでなく、北条や周辺にしか見られない文化も盛り込まれており全国発信するにも良い」と語る。
 A4判90ページ、1万部発行。北条地域全世帯や県内外の図書館などに配布する。協議会のホームページ(http://www.hojo-kazahaya.jp)で電子版が閲覧できる。希望者には1人1部を松山市役所5階の協議会事務局か、着払いの郵送で配布(部数に限りあり)。問い合わせは同事務局=電話089(948)6991。