愛媛県鬼北町泉地区に約400年前から伝わる手すき和紙「泉貨紙」の製作が2月に入って本格化している。同町小倉の作業場では、鬼北泉貨紙保存会長の平野邦彦さん(53)が、冷たい水しぶきを上げながら、温かみのある紙を作り出している。
 コウゾを原料に2枚を張り合わせた泉貨紙は厚手で丈夫。西予市野村町で開発され、鬼北町には1600年以降に伝わった。当時、農家の副業として栄えたが、パルプ紙の普及に伴い1969年に生産が途絶えた。
 2日は専用機を使いこなし、和紙の材料を丁寧にすくい上げ、手際よくはがしていった。今季は暖冬の影響で製作が半月ほど遅れたが、3月26日に開幕する「えひめいやしの南予博2016」の集客を見込み、生産数は2015年比約1.5倍増の3千枚を予定している。
 作業は4月上旬まで続く。町内小中学校の卒業証書に使用するほか、地元の道の駅や宇和島市本町追手2丁目の木屋旅館で販売している。