踊り継ぐ、武士の心意気―。宇和島藩伊達家ゆかりの民謡「宇和島さんさ」の統一した振り付けのお披露目が6日、愛媛県宇和島市天赦公園の国指定名勝「天赦園」であり、地元の踊り手らによる気品あふれる舞が約200人の観客を魅了した。
 「宇和島さんさ」は江戸中期、仙台藩の祝い歌「さんさ時雨」に対抗し宇和島藩士が即興で歌い返したとされる。戦後、複数の流派がそれぞれの振り付けで本格的に踊るようになった。後世に伝えようと2013年、市民らが伝承普及会を設立。人間国宝の観世流シテ方能楽師梅若玄祥さん(68)に統一振り付けを依頼していた。
 お披露目の舞台は今年、築庭150周年を迎えた天赦園。晴天の下、梅若さんが「若い人も年配の人も踊れるよう心掛けた」とあいさつ。地元の踊り手4人を交えて、第一線で活躍する邦楽家による音源に乗せ、格調高くゆったりと舞った。
 同市の主婦(70)は「宇和島の風光明媚(めいび)な魅力が振り付けに生かされている」と熱心に見入っていた。梅若さんに依頼した同会代表幹事の木村宗慎さん(40)は「踊ったり踊りを見たりする機会を増やし、全国発信したい」と話した。