耐震化に伴う架け替え工事のため取り壊される4代目の「肱川橋」(愛媛県大洲市、国道56号)の上で30日、橋への感謝を込めたイベント「肱川橋は大騒ぎ」があった。市民は大綱引きなどの運動会競技を盛大に行い、橋に「ありがとう」を告げた。
 市中心部の肱川に架かる肱川橋は交通量が多く、多くの市民にとっては通勤通学で渡った思い出の舞台。1967年から親しんできた4代目がなくなることに、センチメンタルな思いも横たわる。
 常磐町の男性(34)が「部活のため朝早く、帰りは夜遅く渡りました」と高校時代を振り返れば、菅田町菅田の女性(26)は「橋から見る夕日が気持ちよかった」。イベント主催者「オオズ☆ロケット団」の広見元司団長(56)は「肱川橋は、さまざまな人の思いを運んでくれた」と市民の思いを代弁した。
 昔はライバル関係が強かった肱南・肱北の両商店街地域を結ぶのも肱川橋。そんな経緯もあって、イベントでは肱南・肱北対抗の運動会が開催された。
 リレーなどで競った運動会のラストは60人対60人の大綱引き。橋の上に出店が並ぶ中、熱戦は肱南の2勝で幕を閉じた。両地域の人々は飲食を楽しみながら欄干に「ありがとう私の通学路」などの寄せ書きを書いた。
 肱川橋の車両交通は25日、隣接する仮橋に切り替わっている。4代目の取り壊し工事は11月10日、着手予定。