免疫細胞の中にあるタンパク質がアレルギー炎症を抑制するという新たなメカニズムを発見したとして、愛媛大大学院医学系研究科の山下政克教授と同大医学部附属病院先端医療創生センターの桑原誠助教らの研究グループが、1日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に論文を発表した。アレルギー疾患の予防や新たな治療につながる可能性があるとしている。
 山下教授によると、免疫細胞の中で発現するタンパク質の一種「Bach2」は、アレルギーの発症や悪化を防ぐ働きをすると予想されていたが、メカニズムなどは不明だった。
 研究グループは、免疫系の司令塔である「ヘルパーT(Th)細胞」に着目。Th細胞でBach2を作れないようにしたマウスは慢性のアレルギー性気道炎症を自然発症したのに対し、Bach2を過剰発現させたマウスではアレルギーを誘発させても反応が抑制された。アレルギーの発症には、Th細胞から分化したTh2細胞の活性化が関与しており、Bach2が分化と活性化を抑制したことを示す結果という。