愛媛県上島町弓削佐島の宮ノ浦(みやんな)遺跡を発掘調査している愛媛大と町教育委員会は18日までに、古墳時代前期(3世紀中ごろ~4世紀)とみられる製塩土器などを確認した。見つかったのは植物などが腐食し土壌化した「クロスナ層」と呼ばれる地中層で、愛媛大東アジア古代鉄文化研究センターの村上恭通教授は「動植物が生育しやすい温暖な環境下で、製塩活動が行われていたことが裏付けられた」としている。
 遺跡調査は2011年に開始。これまでに県内初の中世(12~14世紀)の塩田跡や、古墳時代前期の製塩炉などを確認。長期にわたり塩作りが行われていたことが分かっている。
 今回の6次調査は8月上旬から実施、平安末期から鎌倉期の陶器片なども見つかり、村上教授は「塩田で活動しながら生活していたと考えられ、近くに建物跡がある可能性もある」と指摘した。また縄文後期初頭(約4000年前)の深鉢などの土器も出土。遅くともこの時期には人の営みが行われていたことが分かった。
 生態学的調査も開始し、鹿児島大国際島嶼(とうしょ)教育研究センター奄美分室の高宮広士教授がクロスナ層から炭化した種子などを採取。当時の食料や植生について分析を進める。