町長辞職に伴い、新人同士の一騎打ちとなった愛媛県の伊方町長選挙は2日、投開票された。元県議の高門清彦氏(58)=無所属、伊方町川永田=が5451票を獲得し、共産党南予地区委員長の西井直人氏(59)=同、共産推薦、松山市中村5丁目=を4686票の大差で破り、初当選を果たした。
 投票率は71.45%で、4人が争った2014年4月の前回選挙(85.33%)を13.88ポイント下回った。05年の合併後、選挙戦になった4回の町長選で最も低かった。町内には四国電力伊方原発が立地し、国の新規制基準に適合した3号機は8月12日に再稼働、9月7日に営業運転を再開。再稼働後、初の町長選となり、原発への対応は争点の一つで、高門氏は容認、西井氏は反対の立場で論戦を繰り広げた。一方で、選挙戦に対する町民の関心は低調なままだった。
 高門氏は、伊方原発について「町民に不安な気持ちがあるのは事実で、四電に安全対策の徹底を求める」とした上で「四電は地域にとって大事な企業」との考えを説明。前回町長選で争った山下和彦前町長、畑中芳久元町長、浜口市作前副町長の3氏の支援者や、町議16人全員から後押しを受け「融和と発展」をアピールし、知名度と組織力で終始リードを保った。
 西井氏は「3号機再稼働直後の住民の意思を問う機会」とし、伊方原発の停止・廃炉を訴えたが、広がらなかった。
 当日有権者数は8834人(男4201人、女4633人)。投票総数は6312票で、有効6216票、無効96票。