重要文化財の芝居小屋「内子座」(愛媛県内子町内子)が21日に創建100年を迎えるのを記念して、内子町は「内子座 地域が支える町の劇場の100年」を出版した。関係者へのインタビューを盛り込み、内子座の歴史を振り返りながら未来を展望している。15日に発売する。
 A5判で全224ページ。官民の編集委員10人が2013年度から取材・執筆した。冒頭は関係者ら18人の声を集め、人間国宝の人形浄瑠璃文楽太夫、豊竹嶋大夫さん(83)=松山市出身=のほか、元内子高校郷土芸能部員やスタッフ、ガイドらが思いを語った。
 内山商工会館として利用された時代に解体を求める声が上がる中で町が保存を決めた経緯に関しては、当時の町長河内紘一さん(74)や保存に尽力した元町職員の岡田文淑さん(76)への聞き取りを交えて詳述した。
 内子座が観光収入に大きく依存しており、町民使用が制限される場合があるなど数々の問題も提起。最終章では民間、役場の30~40代6人が集まった座談会を掲載し、管理する町と活用する住民の間に横たわる敷居をどうするかなど踏み込んだ意見交換を紹介した。
 税別2300円。1500部を出版しており県内主要書店で購入できる。