愛媛県内子町を訪れた観光客の周遊や町内イベントで約12年間利用されてきたレトロバス「ちゃがまる」が3月末までに運行を終了することが24日、分かった。運営する同町のNPO法人「プロジェクトA.Y.」が撤退を決めた。
 大西啓介理事長(43)によると、需要減などで年数十万円の赤字が続いた点や、少人数のボランティアによる運行のため行程の管理や運転手の健康管理などが困難になったことが理由。1月に長野県で起きたスキーバス転落事故を受け国の事業監査が厳しくなる中、専任の管理者や事務者を雇えない状況もあり、1月27日の緊急理事会で撤退を決めた。法人も解散か休止、移譲する。
 「ちゃがまる」は、町民有志の「レトロバスを走らす会」のメンバーらが費用を出し合って英国式バス1台を購入し、タクシー会社に委託して2004年4月、JR内子駅と町並み保存地域近くの駐車場を起終点に定期運行を開始した。初年度は毎日運行し、翌年度からは土日中心に走らせていた。
 バスは売却する方針で、法人がJR内子駅前で運営する観光案内所「旅里庵」も、受け入れ先があれば移管する。法人は3月に臨時総会を開催予定。大西理事長は「撤退はさみしいが潮時かと思う」と語った。